白蝶Chapter 1 Hobbit編
-灰色魔法使い-
第十三話 まったき白珠
指輪戦争の引き金を引いたサウロンが今は亡き冥王の召使いとして頭を垂れ、古代のエルフ達が偉大なる力を発揮したその昔。力ある生物が次々と衰退していった一方で、あまた蠢く悪しき者の筆頭に金色の長虫がいた。わしが灰色の放浪者としてこの地へ参る遙か以前のことである。翼を持たぬ竜の始祖グラウルングは、底知れぬ魔力、はなれ山のスマウグへ匹敵する劫火、そして何者に勝るとも劣らぬ頭脳と悪意をもってこの地を蹂躙した。 おそらくこの始祖は呪術を我が物とした最初で最後の竜であったろう。彼を上回るパワーを誇った黒竜アンカラゴンは翼を駆使して大空を縦横無尽に翔けるも、やつが魔術を使ったという記録は残っておらぬ。純粋な力比べをすれば黒竜が勝ろうが、始祖がその身に計り知れぬ魔力を包有する限り、やつが唯一無二の存在であることに間違いはない。 して、その力はグラウルングの落とし子へ受け継がれている。とんとやる気を感じられぬ娘だが、小さな体躯へ秘めた魔力は始祖直伝の価値あるものじゃ。成る程、ある者は元々人間だったあれを「紛い物」と呼ぼう。如何にも。スキラが中途半端な存在であることは否定できぬ。しかしその身体を形成する力はこの上なく冥王の根源へ近い。はなれ山を襲った火竜よりも――否、冥王の召使いだったサウロンよりも。 歴史の中で世界は淘汰されていくものじゃ。同時に生き物は混じり合い、互いに近しい存在へと変わっていくじゃろう。ドラゴンとて例外ではない。しかし彼女は亡き冥王がその手で作り上げた始祖そのものに力を与えられた。竜と人の掛け合わせという前代未聞の紛い物であっても、その点だけは決して覆らないのじゃ。 さてもこれらは何を意味するのか。平和の使者として中つ国へ渡り、スキラと出会ってからというものの、わしは常々考えたものじゃ。世界が指輪の支配下に置かれた時代、竜たるスキラがサウロンの下僕へ成り果てず、指輪の影響を受けながら確固たる自我を保ち続けた理由を。 長き自問自答の末に、わしはとうとうこう結論付けた。かつてサウロンの上へ君臨していた冥王の力がその体躯に巡っているからだ、と。黒布をさらなる黒へ染め上げることが出来ぬように、白き氷竜はより凝縮された冥王の力を以て召使いの闇を防いでいたのじゃ。なぜなら始祖グラウルングはかつて滅んだ冥王――重ね重ね念を押すがサウロンの元主人である――が並々ならぬ闇を込めて創り出した生き物。さればこそサウロンはその力を受け継いだ娘の心まで縛り付けることが出来なかったのだと。 苦節を経て旅団長と和解した小さき人を横目に、わしはざらついた岩肌へ手を付いた。老人の身体も楽ではない。すべからく魔法使いは老いた弱者の姿をとるがこれは助言者へ徹するための仮初の姿である。とはいえ尻の青い若者に負けるわしではないぞ、と人知れず呟き、杖を握り締めた。 折りに触れて、わしは一人のドワーフが旅の記録を記す年若きオーリへ身を寄せ、ひそひそと額を付き合わせるのを認めた。相手は甥っ子フィーリである。彼らは裂け谷を出発した頃に比べるとはなはだみすぼらしい成りをしていたが、若さゆえの活力に溢れておった。 「なあ、オーリ。お前って色んな言語知ってたよな。意味を知りたい言葉があるんだが、解読してもらっていいか」 いつになくフィーリが懇ろに尋ねるのでオーリは瞠目して忙しい筆を止めた。 「いいよ。何て言葉?」 「『ニムダエ』って言葉なんだけどさ」 「ごほっ」 パイプ草を吸っておらんかったにも関わらず、わしは大いに咽せた。咳払いで誤魔化すも、ドワーフの口からその名が飛び出てくるとは思わなんだ。むろん、わしとて一連の沙汰を隠し通せると思っておらぬ。スマウグと対面すれば必ずや正体を暴かれるじゃろう。しかし旅半ば、彼らが真相を知るには時期尚早ではないか。わしはそれとなく歩みを緩め、背後で囁かれる内緒話へ耳をそばだてた。 「その単語、裂け谷で見た気がするぞ」 「エルフ語か?」 「うん。館の壁に描かれていた絵に、詩みたいにして添えてあった言葉だ」 「つまりエルフの伝承ってことか。だけどアゾグはオークだよな……なんであいつがエルフ語を。どういう意味の言葉か分かるか」 「たぶん……『白い影』という意味。聞いたことない単語だし、自信はないけど」 人名のような使われ方をしてたよ、と説明する彼はドワーフにしては痩身である。しかしオーリは渋面する甥っ子を見兼ね、消え入りそうな声音でもう一言添えた。 「あの……でも、悪い意味じゃないはず。エルフ語の『白』は綺麗なものや美しいものに付けられることが多いんだ」 一見気弱そうなオーリだが、その実彼は多種多様な言語に才走る。肌身離さずノートを持ち歩き、エルフ直筆と遜色ない流麗なエルフ文字を綴るのじゃ。戦闘に重きを置いたこの旅では目立った活躍をせんものの、隠れた文章名人なのであった。遠征が成功した暁にはその手記がスマウグ討伐の記録として大いに役立つはずじゃ。 しかしフィーリはかの才知に感動するでもなく、顰め面で腕を組み直した。 「でも、『影』は明らかに良い意味じゃないだろ。綺麗な影、美しい影……何を指した言葉なのかさっぱり分からないな。裂け谷以外で見掛けたことないのか」 「ないよ。エルフ語の勉強はしてたけど、裂け谷に行くまで一度も」 道理である。ニムダエとは柊郷におけるスキラの愛称であり、古い歴史を持つ場所でない限り耳目へ触れる機会はない。第二世紀より活動している者しか子細を知らぬはずじゃ。おそらく伝承に親しんだ貴族や学者ならそれと分かろうが、指輪戦争の終焉と共に、風化した記憶としてその名は表舞台から消え去った。 「だけど、どうしてフィーリはエルフ語なんか知りたいんだ」 「小耳に挟んでさ。駄目元でもう一つ訊くが、柊郷って知っているか」 「――ほう。エレギオンのことじゃな」 徐々に核心へ迫る二人に居ても経ってもいられなくなったわしは横からすばやく口を差し挟んだ。次いで、上エルフの王国じゃよ、と身を屈める。甥っ子は罰が悪そうに唇を結ぶも、わしは根掘り葉掘りフィーリの好奇心をほじくり返した。 「それにしてもその言葉をどこで仕入れたのかね」 「それは……裂け谷の壁に書かれてたんだ」 「ほう。おぬしがエルフ語に堪能だったとは初耳じゃな。エルフ文字が読めたのか。この一行でエルフ文字に親しんでいる者はオーリだけと思っていたが。悪かったの。わしの勘違いだったようじゃ」 他人の言を奪って言い繕った男はぐうと低く唸った。剣を頂く山嵐のごとし、夥しい数の武器を隠し持った彼は逞しい背〈そびら〉の起伏を覆い隠すような重量ある上着を正してうつむき加減にこちらを伺った。いかんいかん。いささか虐めすぎたやもしれん。わしは肩を竦め、 「まあよい。黒の言語と異なり、知って悪いものではあるまい。……して、エレギオンの話じゃったな。あれは秀でた文明を誇った国じゃよ」と命からがらくぐり抜けた峰々を杖で指し示した。 「エレギオン、別名『柊郷』は五千年ほど昔、霧降り山脈の西に作られた。稀代の指輪細工師――ケレブリンボールという抜きんでた才能が現われての。多くの財宝を作り出すと共に、裂け谷のエルロンド卿や光の奥方もかつてはそこへ住まわっていらっしゃった。第二世紀、エルフ文化の中心地として名を馳せた国じゃよ」 それに素早い反応を示したのは物書きドワーフである。オーリは寄り目がちの瞳を点にし、 「指輪細工師って」 「そうじゃ。おぬしらも力の指輪のことは知っておろう。サウロンの一つの指輪を始めとして、ドワーフに七つの指輪、人間に九つの指輪。これらはサウロンが鍛え与えたものじゃが、エルフのそれだけは違う。彼らはサウロンより授かった知識を総動員し、自らの技術で三つの指輪を鍛え上げた」 風、火、水。あたかも秘宝のごとくエルフは三つの指輪をサウロンの目が届かぬ場所へ隠し、中つ国の平和のためだけに利用した。しかし彼らの切り札はこれのみにあらず。それはもう一つの宝石――光の奥方が拾い養ったかの竜であった。 「ところでおぬしら。先ほどニムダエがどうとか頭を悩ませておったな」 「ああ、まったく。ガンダルフの耳はエルフ並みなのか」 「壁に耳あり。内緒話はえてして筒抜けなものじゃよ。しかしあれほどお前さんの叔父上が嫌うエルフ文化へ興味を示したことに敬意を表し、ひとつわしが本当の意味を教えてやろう。そう、ニムダエとは白き影。白き影とは……白夜を指すのじゃ」 夏至の夜、特定の条件が揃った地域で輝きに包まれた夜が訪れる。それは白と黒の融和。闇をつき崩し、夜であって夜でないもの。吟遊詩人へ成りきって謳うように告げると、二人がたいそう意外そうに「夜が来ない、あの?」と問うのでわしは気分が良くなった。 「さよう。影の中にあって闇をも飲み込み、白く輝き続けるもの。白夜とは暗雲垂れ込める夜空を、闇に付き従う悪しき者らを、ひとしく一掃せんと願いを込めて名付けられた愛名じゃよ」 されど時折考えるのじゃ。もしあの時スキラが光の奥方に拾われずば、指輪戦争へ駆り出されることもなくカラズラスの氷窟で惰眠を貪っておられたのではないかと。その刹那、わしはあの風変わりな竜を守ってやらねばならんと不思議な使命感に襲われた。そこには中つ国へ派遣された理由と同じく神々の意志が紛れ込んでいたように思う。 「エルフが誰に名付けたの?」 「ほっほっ。オーリも知っておろう。ニムダエと愛される者にじゃよ」 竜の十八番である詭弁を真似る。そんなことは分かっているとフィーリは憤るも、その愛名を頂く人物に心当たりがあるのじゃろう。トーリンの甥っ子は、 「じゃあニムダエが俺達を……叔父上を害することはないのか」と面を固くした。 その時、ちらと彼女を一瞥した者が近くに居たのは気のせいではあるまい。灰色港の波打ち際へ寄せる潮風が、水滴が、磯の香りが水神ウルモの意志を孕み、好き勝手におのおの細めいていた。そしてわしは悟るのじゃ。真実を隠し通すことが難しくなりつつあることを。 「害とな。ふうむ……トーリンが甥、フィーリよ。おぬしが何を聞き、何を見たか、わしは知らぬ。きっとニムダエという言葉も知ろうとして知ったのではないのじゃろう。じゃがこれだけは約束出来る。中つ国やエレボール、おぬしらが住まういかな地が闇に荒らされようとも、『白夜』は必ずや善き種々の味方となろう、と」 なにせあやつほど中つ国を愛しておる竜はおるまいと胸裡に付け加える。 「おぬしの心配はすべて杞憂じゃ。さあ仲間が休憩だと呼んでおるぞ。若きドワーフ達よ、腹を満たし、疲れを癒やして心の靄を打ち払うがよい」 矜り高き王の甥は紙面へ筆を走らせるオーリを率いて仲間の輪へ加わった。ああ、スキラは気付いておるのじゃろうか。皆が己を訝り始めていることに。あやつのことじゃ。暴かれたら暴かれたで詮方なしと思っておるのじゃろう。わしの苦労もしらず暢気なものじゃと大きく息衝いた。 * 第二世紀に入り、主たる王を失った後、生き残った竜は大陸へ放逐されて闇の再来を待ち望んだ。もとより我欲の強いやつらである。竜は悪しき象徴となり、果てはサウロンの手下として在在所所を荒らし回ったものじゃ。しかしおそらくその戦乱を竜の始祖は見抜いていた。否、彼らの時代がいつまでも続くと信じて疑わなかったのじゃろう。だからこそ残忍非道と名を馳せた黄金竜は、あるかなき慈しみと所有欲を持って無力な養い子を自らと同じ種族へ堕とし、苦境を生き抜く力を分け与えたのやもしれぬ。 惜しむらくは彼が往古に絶命して久しいことか。金竜にとってスキラはあまた持つ宝のまったき輝きだったに違いなく――さだめて冥王の竜は害悪に他ならぬが――我が子の成長を見届けることなく滅びたあの長虫ほど哀れなやつもおらぬと思った。 大鷲の救援を得て難を逃れた我々は夜の帳に紛れ静寂に溶けていた。時折、魔狼の嘶きが凍てつく大気を震撼させるが、夜もすがら、休憩も取らず見張りに立つ娘がいる。睡眠を必要としないくせに眠たい眠たいと零すスキラである。わしは辺りを警戒し、白い詰め襟の隣へ並んだ。 結い上げた髪の艶やかさ、うなじに掛かる濡れ羽根色の後れ毛がどこまでも広がりゆく色彩異常の白亜を押しとどめて人らしい姿を作り上げている。月明かりに照らされた頬は生きとし生けるものに流れる鮮血が堰き止められ、月光とみまごう青白さを包有していた。 「スキラよ。おぬしはいつ見ても締まりのない顔しておるな」 「うわ。いつからそこにいらっしゃったんです」 「さっきから居るぞ。さような顔で見張りが勤まるのか心配でならん。少しはトーリンやドワーリンの用心深さを見習うが良い」 「顔は関係ないじゃないですか。……そういうミスランディアはいつ見ても小汚――風来坊ですよね」 なんと失礼なやつじゃ。わざと言い間違ったに決まっておる。見張りを請け負っておきながら欠伸が止まらない様子の娘は無垢な顔を背けた。無理矢理連れ出したわしにも責任あろうが、もう少し老人を労っても良いのではないか。そう詰ると「いつも老人扱いするなと仰るのに、一体どちらなんです」と呆れ顔。この娘に呆れられるとは不覚である。友には優しくしろということじゃと説明するとスキラは「かしこまりました、とんがり帽のミスランディア殿」と慇懃無礼に外套の端をつまみ上げ、膝を折って淑女の真似をした。 竜とは便利な生き物である。寿命はなく、食事を取らずとも長い年月を過ごせる。スマウグが良い例じゃ。あれはこの六十年間、飲まず食わずで寝たきりである。とはいったものの、さしものドラゴンも多少腹は減るだろうが、スキラの場合は魔力が身体を潤していた。その限りでは空腹に悩まされることもなく魔力が戻れば疲労も取れる。 しかし、だ。そろそろこやつがただ人でないと気づき始めている輩も少なくなかろう。甥っ子が良い例じゃ。彼はニムダエの意味を知らなかったが、それがスキラを指す言葉だと察していた。わしは深まる旅路に付きまとって離れぬ疑問を薄気味悪い月夜へ放った。 「おぬしを同行させたのは確かにこのわしじゃ。しかし理由もなく危険な旅へ連れ出すことはせんぞ。ビルボ然り、おぬし然り。それで……どうじゃ。おぬしはスマウグを倒せそうかね」 目には目を。竜には竜を。ドラゴンの恐ろしさを目の当たりにせし者なら当然そう宣うじゃろう。幸いにもスキラは氷竜である。スマウグが放つ炎と相性は悪いが、それはスマウグ側とて同じこと。火は氷を溶かし、融けた氷は水となり劫火を鎮火する。死の静寂を彷彿とさせる氷は迸る炎を相殺して運良く黒煙の底に微かな希望を見いだすやもしれぬ。 さもあれど、娘は一呼吸おいてゆるく被りを振った。そして、 「尋ねるまでもないことだと思ってましたけど」と欺瞞の裡に目元を細めた。 わしは驚かなかった。彼女がニムダエである限りいかな竜に勝ることは出来んと踏んでおったからじゃ。 「ふうむ。ずいぶんあっけらかんと答えるものじゃ。仲間の命が掛っておるというのに。して柊郷のニムダエ、白き影よ、おぬしの口から無理だと思う理由を聞いても構わんかね」 皆が寝静まった夜半、娘の瞳が不安げに揺れる。かつて指輪戦争へ駆り出された時もこのような表情を浮かべていたのだろうか。スキラは仲間の側で愛名を紡がれたことに狼狽し、 「それはミスランディアが一番よくご存じなのでは」と黒々した瞳でわしを見返した。 贋作であること。それはかの娘へ竜でありながら慈愛を解する心を与えた。そして彼女を柊郷のニムダエと知った者は悪しき竜と恐れるかその力を利用せんと近づくか両極端の態度を取ろう。前者は忌まわしき闇の力に溢れているからと、はたまた後者は闇の生き物へ対抗するためと。彼らはドラゴンの強欲へ酷似した私利私欲をひた隠し、諸々の理由をつける。 しかし紛い物には紛い物なりの悩みが付きまとうのが世の常である。三千年前の指輪戦争を顧みてもスキラがスマウグへ勝つことが出来ないのは火を見るより明らかであった。ではなぜ連れて来たか――真実を知ったドワーフの中にはそう考える者もおろう。じゃがわしが考えなしに物事を為すと思ったら大間違いというものじゃ。 「火竜を討てないと分かって連れて来るなんて、ミスランディアは奇特な方です。そんなんだから風来坊と呼ばれるのかもしれませんね」 「失敬なやつじゃ。わしを小汚い風来坊と呼ぶのはお前さんくらいじゃよ。じゃが褒め言葉として受け取っておこう。おぬしの力を当てにせず冒険へ誘うのもわしくらいじゃろうからな」 スキラがドワーフ達を気に入っておるのはわしだけが知っている秘密である。 「あー……小汚いってまだ言ってな」 「しらばっくれるでない。言ったようなものじゃ」 「魔法使い殿は被害妄想も激しくなったんですか」 「聞こえておるぞスキラ」 正体を隠したまま旅をすることは気苦労が絶えぬはずじゃ。反面、気楽さもあろう。力を当てにされないということ、すなわちそれは都合の良い道具へ成り下がらぬということでもある。じゃが、もしかのトーリン二世が彼女をスマウグを打ち倒すだけの存在と見なしたならばスキラは甘んじてその思惑に乗るじゃろう。けれどわしは、わしだけは、損得勘定抜きで純然たる友で在りたいと思った。 けだし光の奥方もそうであれば良い。否、そうに違いないと信じておる。なぜならスキラを此度の旅へ連れ出す際、あの女王様は彼女が竜の姿へ戻ることを禁じたのじゃから。願わくばこの娘がいつまでも中つ国を愛でる心を持ち続けんことを、天の御方へ祈り申し上げる。 「ヴァラールの神々よ。シルマリルのごとき大珠の、アーケン石のごとき純白の輝きが曇らぬよう、我が命ある限り見守ることをお許しくだされ」
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